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システム開発のリスクマネジメントで意識すべきこと・3つの対応

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更新日:2025/03/28

システム開発におけるリスクマネジメントとは、プロジェクトに潜むリスクを管理し、成功に導くためのプロセスです。本記事では、リスクの種類や対応、PM・PMOが意識すべき点を解説します。システム開発に携わる方、プロジェクト管理に関心がある方におすすめです。

目次

  1. はじめに
  2. NEWINGSでは一緒に働く仲間を募集中です!
  3. この記事で言いたいこと
  4. システム開発におけるリスクマネジメントとは
  5. システム開発の主なリスク
  6. システム開発の各工程で起こりうるリスク
  7. システム開発におけるリスクへの3つの対応
  8. PMやPMOによるリスクマネジメントの方法
  9. PMやPMOがリスクマネジメントで意識すべきこと
  10. リスクマネジメントはシステム開発プロジェクトにおいて必須

はじめに

システム開発におけるリスクマネジメントは、プロジェクトを成功に導くために欠かせません。プロジェクトに潜むさまざまなリスクを事前に特定し、適切に対応することで、トラブルを未然に防ぎ、目標達成を目指します。

ただ、システム開発には多種多様なリスクが潜む、そのすべてに対応するのは難しいです。「システム開発のリスクって具体的にどんなものがあるの?」「PMやPMOはどのようにリスクマネジメントを行えばいいの?」、そんな疑問を持つ人も多いでしょう。

本記事では、システム開発におけるリスクの種類や各工程で起こりうるリスク、具体的な対応策、そしてPMやPMOが意識すべき点を詳しく解説します。システム開発に携わる全ての方、必見の内容です。

NEWINGSでは一緒に働く仲間を募集中です!

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SEの経験が浅い方が現場で活躍したり、SEのみの経験からPMOへとキャリアアップした方もいます。
ご興味のある方はぜひ一度、募集要項をご覧いただけますと幸いです。
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この記事で言いたいこと

・システム開発には4つのリスクが付きまとう
・システム開発の工程ごとに備えるべきリスクは異なる
・リスクの影響度に応じて対応を分ける
・リスクの特定や分析はPM・PMOにとって大切な仕事
・リスクの洗い出しでは顧客からのヒアリングが重要

システム開発におけるリスクマネジメントとは

システム開発におけるリスクマネジメントとは、プロジェクトの進行中に発生しうるリスクを事前に特定し、分析、対応策を講じる一連のプロセスです。プロジェクトの目標達成を妨げる可能性のある不確実な要素を管理し、その影響を最小限に抑えることを目指します。

リスクマネジメントを適切に行うことで、プロジェクトの遅延や予算超過、品質低下といった問題を未然に防ぐ、あるいは影響を軽減できます。結果的に、プロジェクトの成功確率を高め、顧客満足度を向上させることが可能です。

近年、システム開発はますます複雑化し、技術の進化も加速しています。そのため、予期せぬ問題が発生するリスクも高まりました。リスクマネジメントの重要性も、以前にも増して高まっています。

そもそもリスクとは

リスクとは、将来発生する可能性があり、発生した場合にプロジェクトに損失や利益をもたらす不確実な事象を指します。良い影響を与えるものも、悪い影響を与えるものも、どちらもリスクとして扱います

システム開発の主なリスク

システム開発には、さまざまなリスクが伴います。主なリスクとして、金銭的リスク、納期リスク、技術的リスク、品質リスクが挙げられます。

これらのリスクは、プロジェクトの成否に大きく影響するため、適切に管理することが重要です。

金銭的リスク

金銭的リスクとは、開発コストが予算を超過したり、期待した費用対効果が得られなかったりするリスクのことです。開発プロジェクトの初期段階での見積もりが甘いと、金銭的リスクは高まります。

主な要因としては、要件定義の不備や、開発途中の仕様変更、技術的な問題の発生などが考えられます。追加の開発費用が発生し、当初の予算をオーバーしてしまうことも少なくありません。

このリスクを防ぐには、初期段階で詳細な要件定義を行い、リスクを考慮した予算計画を立てることが重要です。また、開発会社とクライアントとの間で密に連携し、進捗状況や変更点を常に把握し、柔軟に対応できる体制を構築しましょう。

納期のリスク

納期のリスクとは、システム開発が予定通りに進まず、納期が遅延するリスクを指します。納期遅延は、クライアントのビジネスチャンスを逃すことにつながりかねないため、注意が必要です。

納期のリスクが発生する主な要因は、要件定義の遅れ、開発リソースの不足、技術的な問題の発生などです。また、プロジェクトの進捗管理が不十分であると、問題の発見が遅れ、納期に影響が出ます。

納期のリスクを防ぐためには、現実的なスケジュールを立て、定期的な進捗確認を行うことが重要です。開発チームとクライアントとの間で、課題や遅延の兆候を早期に共有し、協力して解決策を検討できる体制を整えましょう。

技術的リスク

技術的リスクとは、採用した技術がプロジェクトの要件を満たせない、または技術的な問題が発生して開発が難航するリスクです。新しい技術を採用する際には、特に注意が必要です。

技術的リスクの主な要因としては、技術選定の誤り、開発者のスキル不足、技術的な課題の過小評価などがあります。事前に十分な技術検証を行わないと、開発途中で問題が発覚することがあります。

このリスクを軽減するには、プロジェクトの要件に適した技術を選定し、開発チームのスキルセットを考慮することが重要です。必要に応じて、外部の専門家の協力を得ることも検討しましょう。また、技術的な課題が発生した場合には、早期に解決策を検討し、対応できる体制が求められます。

品質のリスク

品質のリスクとは、開発されたシステムの品質が、クライアントの要求を満たせないリスクを指します。バグが多い、使いにくい、パフォーマンスが低いなど、品質に関する問題は、顧客満足度を大きく低下させます。

品質のリスクが発生する要因としては、要件定義の不備、テスト不足、開発者間のコミュニケーション不足などがあります。また、開発プロセスが標準化されていないと、品質にばらつきが生じやすくなります。

品質のリスクを防ぐには、要件定義の段階でクライアントの要求を明確にし、開発プロセス全体で品質管理を徹底しましょう。各工程でレビューやテストを実施し、問題点を早期に発見して修正することが重要です。

システム開発の各工程で起こりうるリスク

システム開発は、複数の工程を経て進行します。各工程にはそれぞれ特有のリスクが存在し、プロジェクトの進行に影響を与える可能性があります。ここでは、主な工程ごとに起こりうるリスクを見ていきましょう。

キックオフ

キックオフは、プロジェクトの開始段階のことです。関係者間で目的や目標、スケジュールなどを共有します。プロジェクトの方向性を定める最初のステップとなります。

キックオフで起こりうるリスクは次の通りです。

・プロジェクトの目的や目標が不明確で、関係者間の認識が一致しない。
・必要な情報が共有されず、後の工程で手戻りが発生する。

要件定義

要件定義は、開発するシステムの機能や性能、制約条件などを明確にする工程です。クライアントの要求を詳細に聞き取り、文書化することが求められます。

要件定義で起こりうるリスクは次の通りです。

・クライアントの要求があいまいで、必要な機能が特定できない。
・要件の変更や追加が頻繁に発生し、開発スケジュールが遅延する。

設計

設計は、要件定義で決定した内容に基づき、システムの具体的な構造や機能を設計する工程です。基本設計、詳細設計など、段階的に進められます。

設計で起こりうるリスクは次の通りです。

・設計の不備により、後工程で手戻りが発生する。
・技術的な問題が発生し、設計の変更が必要になる。

開発

開発は、設計書に基づき、実際にプログラムを作成する工程です。プログラミング、単体テストなどを行い、システムを構築していきます。

開発で起こりうるリスクは次の通りです。

・プログラミングのミスにより、バグが発生する。
・開発者のスキル不足により、開発が遅延する。

テスト

テストは、開発されたシステムが要件を満たしているか、バグがないかなどを検証する工程です。さまざまな種類のテストを組み合わせて、品質を確保します。

テストで起こりうるリスクは次の通りです。

・テスト不足により、重大なバグが見逃される。
・テスト環境と本番環境の違いにより、本番環境で問題が発生する。

システム開発におけるリスクへの3つの対応

システム開発におけるリスクへの対応は、プロジェクトの状況やリスクの種類に応じて、適切な方法を選択することが重要です。

すべてのリスクを排除するのは、現実的に考えて不可能です。そのため、リスクを排除する「回避」に加えて、「軽減」「許容」の対応を取ります。

リスクを排除する「回避」

回避とは、リスクそのものを取り除く対応策です。リスクの原因となる要素を排除することで、リスクの発生確率をゼロにします。たとえば、技術的なリスクが高い新技術の採用を見送る、といった対応が回避に該当します。実現可能性が高いリスクに対して有効です。

リスクの影響を抑える「軽減」

軽減とは、リスクが発生した場合の影響を小さくするための対応策です。リスクが発生する確率を下げる、あるいは発生した場合の損害を最小限に抑える対策を講じます。たとえば、バグの発生を減らすために、コードレビューを徹底するといった対応が軽減に当たります。影響度の大きいリスクに対して有効です。

リスクが発生してから対処「許容」

許容とは、リスクが発生した場合に、その影響を受け入れる対応策です。発生確率が低いリスクや影響が小さいリスクに対しては、特に対策を講じず、発生後に対応します。たとえば、軽微なバグの修正を、次回のバージョンアップ時にまとめて行うといった対応が許容です。

PMやPMOによるリスクマネジメントの方法

PMやPMOは、プロジェクトを成功に導くために、リスクマネジメントを適切に行う必要があります。リスクマネジメントは、リスクの特定、分析、対応策立案、監視、対応という流れで進められます。

リスクの特定

リスクの特定は、プロジェクトに潜在するリスクを洗い出す作業です。過去のプロジェクトの経験や、チェックリスト、専門家の意見などを参考に、網羅的にリスクを抽出します。

この段階でリスクを特定することで、事前に対応策を検討でき、プロジェクトへの影響を最小限に抑えられます。また、関係者間でリスクを共有することで、リスクへの意識を高められます。

リスクの分析

リスクの分析では、特定されたリスクについて、発生確率や影響度を評価します。リスクの重要度を評価し、優先順位を付けます。

リスクの分析結果に基づき、対応が必要なリスクと、許容できるリスクを区別できます。これにより、限られたリソースを、重要なリスクへの対応に集中させられます。

リスクへの対応策立案

リスクへの対応策立案では、分析結果に基づいて、具体的な対応策を検討します。リスクの回避、軽減、許容といった選択肢の中から、最適な対応策を選びましょう。

対応策を立案することで、リスクが発生した場合に、迅速かつ適切に対処できます。また、対応策を事前に準備することで、リスク発生時の混乱を防ぐことが可能です。

リスクの監視

リスクの監視では、特定されたリスクの状況を継続的に監視します。リスクの発生状況や、対応策の効果を定期的に確認することが求められます。

リスクを監視することで、新たなリスクの兆候を早期に発見できます。また、対応策の効果が不十分な場合には、計画の見直しや追加の対策を講じることが可能です。

リスクへの対応

リスクへの対応では、実際にリスクが発生した場合に、計画しておいた対応策を実行します。状況に応じて、計画の見直しや、新たな対応策の検討も必要です。

リスクに適切に対応することで、プロジェクトへの影響を最小限に抑えられます。また、対応の過程で得られた教訓を、今後のプロジェクトに活かすことも重要です。

PMやPMOがリスクマネジメントで意識すべきこと

PMやPMOがリスクマネジメントを効果的に行うためには、いくつかのポイントを意識する必要があります。ここでは、特に重要な3つのポイントについて解説します。

リスクの洗い出しでは顧客からもヒアリングを

リスクの洗い出しは、自チーム内だけでなく、顧客からもヒアリングを行うことが重要です。顧客の視点から、プロジェクトのリスクを把握できます。顧客が抱える懸念や、過去のトラブル事例などを聞き出すようにしましょう。

特に大切なのが、直接やり取りをしている相手がシステムを実際に使う業務部門なのか、窓口部門なのかです。相手が窓口部門の場合、注意深くヒアリングをし、業務部門の要求を明確にしなければなりません。必要に応じて、業務部門からもヒアリングをした方がいいでしょう。

顧客からの情報と、自チーム内で洗い出したリスクを組み合わせることで、より網羅的なリスクの特定が可能です。これにより、プロジェクトの成功確率を高められます。

リスケジュールは遅れを埋める方法を考えたうえで

プロジェクトの遅延が発生した場合、リスケジュールは慎重に行う必要があります。単にスケジュールを後ろ倒しにするのではなく、遅れを取り戻すための具体的な方法を検討しましょう。リソースの追加や作業の効率化など、実現可能な対策を立案します。

現実的なリスケジュールを行うことで、プロジェクトの納期遅延を最小限に抑えられます。また、関係者に対して、遅延の影響と対策を明確に説明することが可能です。

早めのエスカレーションで組織的な対応を

リスクが顕在化し、自チームだけでは対応が困難な場合は、早めにエスカレーションを行うことが重要です。上位のマネジメント層や関連部署に状況を報告し、組織的な対応を求めます。

早めのエスカレーションを行うことで、問題解決のためのリソースや権限を得られます。また、組織全体でリスクを共有することで、より効果的な対応策を講じることが可能です。これはシステム開発会社として、ノウハウを蓄積するためにも有効です。

リスクマネジメントはシステム開発プロジェクトにおいて必須

システム開発において、リスクマネジメントはプロジェクトマネージャー(PM)の重要な役割です。プロジェクトを成功に導くためには、リスクを適切に管理し、その影響を最小限に抑える必要があります。

プロジェクトの規模によっては、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)がPMを補佐し、リスクマネジメントを支援することもあります。特に大規模プロジェクトでは、複数人のPMOで構成されるチームが組織され、リスク管理を専門的に行うこともあります。

プロジェクトマネジメントに携わる方は、リスクを常に意識し、早期発見・早期対応を心がけましょう。そして、関係者と協力して、リスクを乗り越え、プロジェクトを成功に導いてください。

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